
音を紡ぐ

うっかりしてたら、もう九月!
記録尽くめの天気に振り回された夏も、少しは落ち着いてくれますように。
秋はやりたい事がたくさんあるのだから。
代表的な『読書の秋』
実は汗水たらしながらの八月に、素敵な本に出会いました。
『羊と鋼の森』(ヒツジとハガネの森)
2016年の本屋大賞受賞で「一番売りたい本」等の帯が付いていて、気にはなっていたところ、
ようやく読む機会ができました。
内容はピアノの調律師の成長物語(簡略しすぎ~!^^;)です。
題名から受ける印象は、重厚で迷い込んだら抜けられないのに、妙にひきつけられ吸い込まれてしまう、
そんなどちらかというと暗い旋律を奏でる物語なのかなと思いましたが、
期待?は見事に裏切られ、むしろ清々しさがひたひたと満ちてくる感じがしました。
登場人物の誰一人悪人はおらず、波乱万丈の人生と言う訳でもなく、格別にドラマチックな展開も無い、
なのに真摯に『音』(仕事)に取り組み悩む主人公の姿に、胸が締め付けられそうになったり、
うまくいくとホッと胸をなでおろしてみたり、そんな自分にまた驚いてみたりもしました。
ピアノという「森」、内部に張られた絃「鋼」は、あたかも森を構成する樹木
その森の、自然豊かな生命力に育まれた「羊」の毛が良質のフェルトとなって弦を弾く
ピアノを奏でる人のために、「森」を守るために最良の音を見つけ出し磨いていく
表に出ることはなくても無くてはならない仕事「調律師」
世の中の多くはそんな仕事ばかりで成り立っている
そんな現状が愛おしく思えるような一冊でした。
今まで比較的癖のある、というか個性が強い作家の本を手にしてきましたが、
この秋は、宮下奈都さんのほかの本ももっと読んでみようと思います。
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