fc2ブログ

月のつぶや記

ささやかな日常の風景に言葉を添えて…

秋へ

 音を紡ぐ 

 うっかりしてたら、もう九月!
記録尽くめの天気に振り回された夏も、少しは落ち着いてくれますように。
秋はやりたい事がたくさんあるのだから。

 代表的な『読書の秋』
実は汗水たらしながらの八月に、素敵な本に出会いました。

CIMG264.jpg 
 『羊と鋼の森』(ヒツジとハガネの森)
2016年の本屋大賞受賞で「一番売りたい本」等の帯が付いていて、気にはなっていたところ、
ようやく読む機会ができました。
内容はピアノの調律師の成長物語(簡略しすぎ~!^^;)です。

 題名から受ける印象は、重厚で迷い込んだら抜けられないのに、妙にひきつけられ吸い込まれてしまう、
そんなどちらかというと暗い旋律を奏でる物語なのかなと思いましたが、
期待?は見事に裏切られ、むしろ清々しさがひたひたと満ちてくる感じがしました。
登場人物の誰一人悪人はおらず、波乱万丈の人生と言う訳でもなく、格別にドラマチックな展開も無い、
なのに真摯に『音』(仕事)に取り組み悩む主人公の姿に、胸が締め付けられそうになったり、
うまくいくとホッと胸をなでおろしてみたり、そんな自分にまた驚いてみたりもしました。
 
 ピアノという「森」、内部に張られた絃「鋼」は、あたかも森を構成する樹木
その森の、自然豊かな生命力に育まれた「羊」の毛が良質のフェルトとなって弦を弾く
ピアノを奏でる人のために、「森」を守るために最良の音を見つけ出し磨いていく
表に出ることはなくても無くてはならない仕事「調律師」
世の中の多くはそんな仕事ばかりで成り立っている
そんな現状が愛おしく思えるような一冊でした。

 今まで比較的癖のある、というか個性が強い作家の本を手にしてきましたが、
この秋は、宮下奈都さんのほかの本ももっと読んでみようと思います。


 

Read More

スポンサーサイト



[ 2016/09/04 12:47 ] 読書 | TB(0) | CM(6)

読書の秋

 駆け抜ける秋 (あっというまに冬?…)

  家庭内で拉致されていたPCが、暫くぶりに戻ってきました!(^^)!
  その間、ひめは秋の夜長‥ちゃちゃっとモンスターなど捕まえに?‥
  (野性の血が騒ぐんでしょうか。。笑)





securedownload[1] 
めっきり白いものが増えた‼?
いえ、光の加減!
まだ2歳です!




 私は久々の読書に!
 今話題の作家、百田尚樹さんの本を初めて読みました。 

CIMG1225 

“ゼロ” その、他を一切寄せ付けないような孤高の響き‥
無であり、始まりでもある数字‥
敗戦と再生の意味が込められた題名かと思いましたが、“ゼロ戦”の事でした。
その名前の由来も、“皇紀2600年”(当時日本独自の年号)に認可されたから、その末尾の『0』‥
構えるほどの意味はないとしながらも、なにかしらの必然性を見出したくなる‥
そんな想いを見事にすくいあげた題名だと思います。

その“ゼロ戦闘機”のパイロットとして、最後は特攻隊の一員として命を落とした祖父がいた事を
60年経った現代に知った孫たちがその足跡を辿る物語です。
戦争を語るには余りにも重く辛い体験を余儀なくされた祖父母の世代。
僅かなつてを頼って訪れた先の人たちが、その重い口を徐々に開いて、やがて全てを語りだす‥
顔すら見たことのなかった祖父の姿が徐々に浮かび上がっていく‥
声が聴こえる気がする‥『生きよ!』というメッセージとなって‥
どんな時代でも、いつでも変わることのない、ゆるぎないメッセージが。。。
それは緩く生きてきた孫の心に、いつしかしっかりとした核を形成していく。

今、原発などに象徴される政府の対応というものをみていると、
不思議なほど当時の政府の姿勢と似ているように思えてなりません。
そしてマスメディアの姿勢も‥

確かに「事実」は伝えているかも知れません。
でもそれは必ずしも「真実」ではないかもしれません。
また、情報量の多さはかえって受け取る心を麻痺させる側面もあるのではないでしょうか。
受け取る心の眼を大切にしなければいけないと…
そんなことを考えさせられる一冊でした。



PS ひめはゲーム機を見ています‥「事実」です。
   動く画面に反応して手を出しましたが、
   モンスターを捕まえようとしたわけではありません‥「真実」デス(爆) 
   

   
[ 2013/11/13 00:36 ] 読書 | TB(0) | CM(12)

雨音を聞きながら

 “読書の‥梅雨”



CIMG0002.jpg



雨の季節は、秋の夜長と同じくらい読書に適しているような気がします。
辺りの音を雨粒が吸いとって、単調なリズムに変えていくからかな。
しかもじっとりとした空気の中で、何故か読みたくなるのがじっとりと重い小説‥
(そういえば前にもこの季節に、この人の本「ウツボカズラの夢」を読んでました…)

作者の取り上げる人物は、時代や環境が違うとはいえ、詠み手の私そのものであったり、その家族であったりするように思います。
それ程、日常のこまごまとした動作、感情をすくい取り、紡いで、大きなうねりをつくりだし、読者を引き込んでいくのが「乃南アサ」さんの凄いところです。
読み始めると止まらなくなる上、この前に書かれた「ニサッタ、ニサッタ」も読みたくなり、
(アイヌ語で“明日”という意味)
結局読んでしまったので‥目に相当きています(沈)

帯にもある「生きる」とはどういうことか、
正解などある訳もないのに、回答が欲しい程に道を見失い、絶望の淵に立たされることがあります。
個人の力では抗え様もない自然災害(二年前も‥)や、戦争に呑まれていく過程で‥
生まれた場所、親、スタートから違うのに、価値観の共有を強いられもがく日々の中で‥
それでも、ただただ今日一日を終える事だけに一生懸命になる、
それが積み重なって明日になる、
そうやって気持ちを奮い立たせる事が言わば生きる事。
そんな風に言っているように思いました。

愚直に生きる“とわ”さんの「政府の言う事は金輪際信じるんじゃねぇ!」という言葉も印象的でした。
北海道の開拓を庶民に押し付けんがための美辞麗句に騙された幾多の人々。
それは満州の開拓にも通じ‥
今の原発に対する国の姿勢にまで通じるように思えてなりませんでした。

思う事のいっぱい詰まった本。合わせて4巻‥
感動と引き換えに視力は…ま、いいか^_^;
   

Read More

[ 2013/06/26 17:06 ] 読書 | TB(0) | CM(8)

8月の読書

  残暑の中で… 

 8月。
 記録的猛暑。
 まだまだ続く残暑。

 この月は「命」について考える事が、普段よりも多いとおもいます。
お盆もあるし、原爆や終戦記念日。
今年は熱中症で亡くなる方も多いし、海・山の事故。
幼児やお年寄りの方々への冷たい現実。

P8161834.jpg 一方で、大切に命と向き合い生きている多くの人々。
この夏は谷川俊太郎さんが参加・編集された 「生きる」・わたしたちの想い 一章・2章を読みました。

あるネットコミュニティに書き込まれた呼びかけ、投稿から生まれた皆の「生きる」が集まって、繋がって、ひとつの大きな詩になった本です。
全国各地の大人から子供まで、様々な「生きる」が詰まっています。
それは日常のさりげない動作であったり、情景であったり。
もちろん命の危機に直面した「生きる」もあります。

P8161833.jpg 全てのシーンが追体験をしてるかのようにおもいうかべることができ、スッと心に入ってきます。
たぶん優しい気持ちになれると思います。
ちょっと気持ちを解きほぐしたいとき、読みたくなります。
(角川SSコミュニケーションズ ¥1200)

P・S 他の方のブログから「少年Aの散歩」を探しにいって出会ったほんでした。

[ 2010/08/21 18:34 ] 読書 | TB(0) | CM(6)

ちょっと素敵な大人の絵本

  心癒される「負け犬ルーサー」

 しらいさりいさんのブログで連載されていた、「負け犬ルーサー」がコミック絵本という分野で書籍化されたことを知って、せっかくPCに慣れはじめたので、アマゾンで買ってみました。
登録法など、まだ戸惑うところもありますが、どうにかクリアー(笑)
(ま、そんなことはどうでもいいですね。)

P4241287.jpg  洋書の様な左開きでオールカラー!
スヌーピーの絵本のようなイメージで、ちょっとオシャレな仕様です。
ストーリーは、自分の置かれている状況を読み誤ったルーサーが、野良犬としての厳しい暮らしを余儀なくされて、生きる事の意義や価値について悩みながら、遂に最上の価値を見出し、そして終焉を迎えるというお話です。
(さりいさん、間違っていたらごめんなさい。)



P4241289.jpg ルーサーは勿論そのまま現在リストラや就職難等であえぐ人々に置き換えられます。
そして今は「勝ち」の人々の足元も実は危ういものだという事も、一見ほのぼのとしたタッチの絵と文章の中に、しっかり込められています。
ラストのシーンは「フランダースの犬」のネロとパトラッシュを彷彿させるようで、しんみりと致します。

思えば人は誰に対して「勝ち組」・「負け組」と言うんでしょうかね。
厳然たるヒエラルキーは確かに存在します。
そのどこに属していても「満足」のレベルは様々。
心が疲れている時は、どこにあっても他がよく見えます。
そのことを、前進のエネルギーに転換できる場合もあれば停滞、後退になってしまうことも…
自分を見失うことなく、他を思いやることが出来れば、更に住みやすい世界になるんでしょうけど…

薄くてすぐに読める(or視れる)本なのに、ふとそんなことまで思いを巡らしてしまいました。
こうして、「本」にすることは、いろいろと大変でしょうけど、また次をと遂、簡単に言ってしまいます。
ゴメンナサイ。でも、待ってます^_^
[ 2010/04/27 19:30 ] 読書 | TB(0) | CM(4)