
“読書の‥梅雨”
雨の季節は、秋の夜長と同じくらい読書に適しているような気がします。
辺りの音を雨粒が吸いとって、単調なリズムに変えていくからかな。
しかもじっとりとした空気の中で、何故か読みたくなるのがじっとりと重い小説‥
(そういえば前にもこの季節に、この人の本「ウツボカズラの夢」を読んでました…)
作者の取り上げる人物は、時代や環境が違うとはいえ、詠み手の私そのものであったり、その家族であったりするように思います。
それ程、日常のこまごまとした動作、感情をすくい取り、紡いで、大きなうねりをつくりだし、読者を引き込んでいくのが「乃南アサ」さんの凄いところです。
読み始めると止まらなくなる上、この前に書かれた「ニサッタ、ニサッタ」も読みたくなり、
(アイヌ語で“明日”という意味)
結局読んでしまったので‥目に相当きています(沈)
帯にもある「生きる」とはどういうことか、
正解などある訳もないのに、回答が欲しい程に道を見失い、絶望の淵に立たされることがあります。
個人の力では抗え様もない自然災害(二年前も‥)や、戦争に呑まれていく過程で‥
生まれた場所、親、スタートから違うのに、価値観の共有を強いられもがく日々の中で‥
それでも、ただただ今日一日を終える事だけに一生懸命になる、
それが積み重なって明日になる、
そうやって気持ちを奮い立たせる事が言わば生きる事。
そんな風に言っているように思いました。
愚直に生きる“とわ”さんの「政府の言う事は金輪際信じるんじゃねぇ!」という言葉も印象的でした。
北海道の開拓を庶民に押し付けんがための美辞麗句に騙された幾多の人々。
それは満州の開拓にも通じ‥
今の原発に対する国の姿勢にまで通じるように思えてなりませんでした。
思う事のいっぱい詰まった本。合わせて4巻‥
感動と引き換えに視力は…ま、いいか^_^;
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