またまた本ですが…
普段、ドキュメンタリーとか手記のたぐいは、買って読むことがありません。
多くの場合、精神的にも肉体的にも過酷な環境、状況をいかにして乗り越えたかに焦点が当てられていて、書き手の、或いは主人公の立派さのみが際立ってしまうような気がしてたからです。
…大変だったんだ。凄いね。自分じゃこんな風に出来ないな。だからあなたも頑張ってって言われても…
などの様に、己のネガティブさやひ弱さが、浮き彫りなってしまうのも、敬遠したくなる理由の一つです。 そんななか、蓮池薫さんのこの本はなぜか気になって、買ってみました。
「半島へふたたび」 新潮社 ¥1400 です。
私と同じ歳の氏は、言うまでもありませんが、「拉致被害者」です。
自分の意志に全く関係なく、身に降りかかった衝撃が何を意図するかも分からないまま、恐怖のうちにかの国に拉致されて、近年、ようやく帰国がかなったのは、周知の事実です。
なにも知らずに過ごしてきた者が軽々に物事を言ってはいけないような、或いは知らなかったことにしておきたいような複雑な背景が、もしかしたら重々しく記されているかもしれない。
触れないほうがいいかな、とも正直思いまいた。 でも、そのような心配、もしくは勘ぐりは必要ありませんでした。むしろ紀行文と言った方がいいかもしれない、そんな感じがいたしました。
思わぬかたちで、関わってしまった朝鮮半島を冷静に理解する為にも、暮らしの足場を確立する為にも、韓国行きの必要を望んでいた蓮池さんの驚く位に飄々とした楽しげな韓国レポート。そういった趣があります。
韓国旅行の際には、この本を参考にしてもいいくらい。食べ物も、穴場も紹介されています。
感情に流されず、淡々とした文章で描き出される韓国の現在と過去。北との相似と対比。
たいして関心も興味もなかった国 (ジャスト!韓流世代みたいですが…) むしろ小さな反感すら覚える様な…。
多分、多くの人が少なからず抱いているであろうネガティブな面を持つこの国、半島の歴史や距離を近づけてくれるような内容でした。
ただ、時折り韓国との比較のなかで記される北での暮らしは、いかに理不尽なものだったのかが、冷静で有るだけに浮き彫りになります。そして今も尚、出口のみえないまま、「希望」という言葉をすてざるを得ないままに暮らしている被害者やご家族を、そのままにしてはいけないんだなと思いました。
とはいっても何が出来るわけでもありませんが、忘れないことと、少しでも関心を持ち続けることが大切ですね。
(一日遅れの名月を撮ろうと思ってシャッターを押したら、ハートのように見えて、これもありかな…と)
離れていても、見上げる月は一つ、と誰かの言葉にもありました。
どうか希望を紡いでくださりますように。
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Author:LM
やんちゃなひめ(猫)に仕える?日々を楽しんでいます。
大丈夫でしょか?…こちらも先ずは雨が激しくなってきました。安普請なので、雨風には滅法弱いです(泣)
こんな時ゃ読書ーーなんて落ち着いてられんのです。洗面器とバケツを用意して、天井のシミとにらめっこッス!心ある大工さんは減って、大工やさんは増えたのかも…
無駄に心が高ぶる時は、試してみます。器に水をみたすこと。。。そ~っと、そぉ~とね